[弁護士]勝田 浩司
Q.会社から突然解雇された、残業代が支払われない、パワハラを受けた、等のトラブルの解決について、「労働審判制度」があると聞きましたが、どのような制度でしょうか。
A.「紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決」(労働審判法第1条)を目的として2006年から開始された制度です。従来の訴訟では1年以上かかることも多かったのですが、労働審判では原則3回の期日で4ヶ月程度での解決が目指されています。労働現場の実情をよく知っている労働審判員が参加することで事案に即した解決のできる可能性があります。
Q.どんな問題でも利用可能なのでしょうか。
A.労使間の紛争に限られるので、パワハラをした個人に対する損害賠償請求などは対象外ですし、また、事実関係が複雑な事案は労働審判には向きません。
Q.使い勝手はいいのですか。
A.簡易迅速な解決を希望するのであれば、選択肢の一つとして有益だと思います。
Q.どこの裁判所でも利用可能なのですか。
A.愛知県では名古屋地方裁判所本庁だけで、支部(岡崎、豊橋、一宮、半田)や簡易裁判所では実施されていません。原則として当事者の同席が求められますので遠方の場合には注意して下さい。
(2018.5執筆)