[弁護士]林 翔太
Q.私は、義父を亡くなるまで介護していましたが、夫の他の兄弟は、介護をするどころか、結婚して独立してから会いに来ることもありませんでした。葬儀後、主人の兄弟が、遺産は兄弟平等と言われました。私としても、主人としても、平等とは納得いきません。私の介護は、遺産相続の中で、何にも手当がないのでしょうか。
A.現時点では、共同相続人が、親族が扶養の範囲を超えて、介護をしたと評価されない場合(いわゆる寄与分)を除き、遺産相続の際には、手当がありません。共同相続人によるものですから、配偶者が亡くなっていた場合は特に、「義父母の介護をした」からといって、法律は何にも手当がなされていません。法律って冷たいものなのでしょうか。
近年、親族間で介護を行っていたが、相続分に争いのあるケースが増加し、最近相続法の改正がされ(2019年4月1日から施行。遺言の書き方も一部変わりました。)、相続人以外の親族(相談事例のように、子どもの配偶者)が被相続人の療養看護をした場合には、相続人に対して金銭請求をする制度(特別の寄与)が創設できました。今回の相談者の場合も、相続人との協議によるか、協議が整わない場合は家庭裁判所へ申し立てて,請求することができます。ただし、「親族」の必要があるので、そもそも親族関係もない友人を介護した場合は、従来通り、遺言とか、生前贈与などをしてもらうことが必要です。
(2018.10執筆)