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「一票の格差」訴訟 名古屋高裁でも違憲判決!

 

(1)「一票の格差」問題とは

みなさんが平等だと思って投票しているその1票が、実は他の人よりも価値が低いかもしれないと考えたことはありますか。例えば衆議院小選挙区・高知県第3区(土佐市等)は有権者数約21万人なのに対し、千葉県第4区(船橋市)は有権者数約49万人です。同じ1人の議員を選出できる力が、高知県第3区の人の1票は千葉県第4区の人の1票の約2・3倍だと言える状況です。同様に、高知県第3区の1票の力は愛知県第12区(岡崎市等)の約2・1倍、愛知県第1区(名古屋市東区等)の約1・7倍です。

これは住所地による差別ではないか、平等選挙だと言うなら各1票が選挙結果に及ぼす影響力(投票価値)も平等であるべきではないか、というのが「一票の格差」問題です。

(2)これまでの判例と学説の考え方

最高裁はこれまで、「国会の裁量」を根拠に、おおむね衆議院については3倍(参議院については6倍)まで合憲としてきました。

しかし、いくら国会に裁量があったとしても、とある選挙区の1人が他の選挙区の3人分の価値がある1票を持っているというのは、合理的に説明しきれるものではありません。このため、学説上は、せいぜい2倍までに抑えるべきという見解が一般的です。

(3)今回の「一票の格差」訴訟

そこで、昨年夏の衆議院議員総選挙について、各地の弁護士が連携して、全国の8高等裁判所(東京高裁については2訴訟)で、9つの選挙無効訴訟が提起されました。

その判決については、かなり報道されたのでご存じかと思いますが、大阪高裁の違憲判決を皮切りに、東京高裁のひとつと最後の札幌高裁を除いた7つの裁判所で、違憲もしくは違憲状態判決が下されました。なお、「違憲状態」とは、投票価値の不平等が合理性を欠く状態に達しているものの、それを国会が是正するには時間的に余裕がなかったとして違憲と断言しない状態のことですから、一票の格差がもはや許される状況ではないという点では、違憲判決も違憲状態判決も変わりありません。

名古屋高裁でも本年3月18日、格差が2倍に達した場合には、「一方の投票権の価値が他方の投票権の価値の2倍になるわけであり、これは言い換えれば、1票の投票権を持つ者と2票の投票権を持つ者とが生じるのと同じことになるわけであって、実質的に1人1票制にも明確に反する」として、違憲判決が下されました。

(4)舞台は最高裁へ

9つの高裁判決は、すべて上告審に移りました。

弁護団は、格差3倍基準を2倍以内へ、さらに限りなく1倍へ、と議論を展開しています。考えてみれば、2倍だ3倍だ、自分は1票持っているが2票分以上持っている人もいると言うと“他人事”ですが、自分は0・5票分も持っていないと言うと“自分事”になります。たとえ1・7倍(愛知県第1区)の格差でも、0・6票分の一人前に満たない価値しかなければ、やはりおかしい。これが住所地だからピンとこないかもしれませんが、性別や収入によって区別されていたら、例えば女性は男性の0・9票分とカウントされるとしたら、だれも納得しないはずです。

日本が代表民主制を採用している以上、民意の正確な反映は、国政運営の根幹に関わります。「一票の格差」についても、是非、注目してください。

(5)今年の参議院議員通常選挙についても控訴

参議院選挙区の格差はさらにひどく、最大約5倍です。
7月26日、名古屋高裁でも提訴しました。

弁護士 濱嶌将周

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