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事件紹介

事件紹介−事件紹介

野田農場事件で和解成立

野田農場 〜 江戸時代から続く300年来の里地を保全 〜

 このホームページの事件紹介でも紹介した「野田農場」をめぐる裁判について、一定の解決を見ましたので、ご報告します。
1 「野田農場」事件とは
 野田家は1700年頃から続く農家です。名古屋市守山区中志段味に、約1.1haの農地(約4,000m2の田んぼ、約4,000m2の畑・果樹園および約4,000m2のビニールハウス)が点在していて、その野田家の農地の総称が「野田農場」です。
 野田農場は、近隣の農地とともに、中志段味に、江戸時代から続く里地の風景をつくってきました。
 ところが、その中志段味で土地区画整理事業が始まりました。2m盛土の上、宅地として造成されて、野田農場全体の減歩率(面積の減少率)は平均50%超となる計画です。
2 訴訟提起とその経過
(1)仮換地指定処分取消請求及び効力停止申立
野田家は、不服審査請求をしつつ、従前地で営農を続けました。しかし、請求に対する回答はなく、2008年12月24日、本件事業組合を相手方に、仮換地指定処分取消請求の提訴と、その効力停止の申立を同時にしました。
(2)効力停止申立事件の裁判所の判断とその影響
 2009年3月30日、効力停止申立事件の決定が言い渡されました。裁判所は、平均50%超の減歩率について、「申立人らが専業農家であることにも鑑みると、本件各仮換地処分により、農業の継続が困難になるなど、後の金銭賠償によっては損害の回復を図ることが著しく困難な、重大な損害を被るものと認める」べきとの判断を示しつつ、提訴後に、組合が野田家に対し、今後3年程度の組合所有農地の使用収益を認めたことから、「緊急の必要があるとは認められない」として、申立を却下しました。
 しかし、前者の判断は組合に衝撃を与えたようで、本訴において、(1)野田農場の換地先を現在のビニールハウスを中心とする野田農場のコアエリア周辺に変更すること、(2)2mの盛土を伴う宅地造成工事を行わないこと、(3)減歩率を緩和すること、(4)中志段味の名古屋市の所有地の活用を野田家・組合共同でお願いし、野田家所有のビニールハウス周辺の環境保全が可能となる事業計画の変更を行うこと、などの方向で和解を進めることになり、裁判所外で、野田家・組合に名古屋市を加えた三者協議を持つ運びとなりました。
(3)三者協議
 三者協議は、実に12回に及びました。
 協議では、将来の営農が可能となる減歩率、取水の確保、日照の確保などについて話し合われました。
3 合意の成立とその内容
 そして、本年4月28日、(1)野田家の換地先を現在のビニールハウスを中心とするエリアとする、(2)その減歩率を25%とする、(3)野田農場の日照確保のため、野田家の自宅宅地を農地の南側に換地する、(4)取水については庄内川からの取水と組合が設置する井戸で対応する、などを内容とする合意が、野田家・組合間で成立しました。
合意に先立ち、組合理事者から、野田家に対し、反省・謝罪の弁が述べられました。
 名古屋市は、野田農場周辺に約1haの土地を確保し、同日、市長声明として、関係者や市民の参加の下、当地の自然環境をできる限り保全すること、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の開催市として生物多様性を実感できる新しい形態の都市の自然地域づくりを進めていくこと等を表明しました。
 また、5月21日、上記合意を受けて、これを確認し訴えを取り下げる形で、訴訟上も和解が成立しました。
4 本件の成果と今後の課題
 土地区画整理事業において、自治体の協力の下、農地および自然環境が保全される運びとなったのは、おそらく例のないことであり、大きな成果です。
 しかし、現在の到達点は、野田農場の約8,000m2と隣接する名古屋市の約1haについて、なるべく現状を保全することが決まったというにすぎません。野田農場と名古屋市所有地の区画割りや農道、水路の引き方などの具体的問題については、今後設置される作業グループの課題とされました。名古屋市所有地の具体的活用方法も未定です。環境の世紀ともいわれる21世紀における都市の開発のあり方として、今後のモデルケースとなるよう、推移を注視したいと考えています。

 なお、弁護団は、籠橋隆明弁護士、吉江仁子弁護士、樽井直樹弁護士と靫困任后
(靫此‐周)

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