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「一票の格差」訴訟 名古屋高裁でも違憲判断

1 「一票の格差」問題とは
 現在の日本では、20歳以上の全国民に平等に選挙権が与えられています。人種や性別や収入等で差別されません。なので、現行の衆議院議員総選挙なら、有権者はだれでも、投票所に行けば小選挙区用の投票用紙1枚と比例選挙用の投票用紙1枚を手渡され、それぞれ投票できます。1枚も貰えない人もいませんし、2枚以上貰える人もいません。
 しかし、その1票は、本当に他のみんなと同じ1票なのでしょうか。
 実は、住所地(選挙区)によって、同じ1票とは言えないのです。例えば小選挙区・高知県第3区(土佐市等)は有権者数212,254人(2009.9.2.現在)なのに対し、千葉県第4区(船橋市)は有権者数489,246人です。同じ1人の議員を選出できる力が、高知県第3区の人の1票は千葉県第4区の人の1票の約2.3倍である、と言える状況です。愛知県においても、高知県第3区の1票の力は愛知県第12区(岡崎市等)の約2.1倍、愛知県第1区(名古屋市東区等)の約1.7倍です。
 これは住所地による差別ではないか、選挙権の平等を言うなら、各選挙人の投票価値すなわち各投票が選挙結果に及ぼす影響力も平等であるべきではないか、というのが「一票の格差」問題です。

2 これまでの最高裁判所判例と学説の考え方
 40年以上前から、この「一票の格差」を問題とした訴訟が起こされ続けてきました。最高裁はこれまで、おおむね衆議院については3倍(参議院については6倍)まで合憲としてきました。ただし、なぜ3倍までは許されるのか、その根拠は「国会の裁量」くらいしか示されていません。
 しかし、いくら国会に裁量があったとしても、とある選挙区の1人が他の選挙区の3人分の価値がある1票を持っているというのは、合理的に説明しきれるものではないでしょう。このため、学説上は、せいぜい2倍までに抑えるべきという見解が一般的です。

3 今回の「一票の格差」訴訟
 そこで、昨年夏の衆議院議員総選挙について、各地の弁護士が連携して、全国の8高等裁判所(東京高裁については2訴訟)で、9つの選挙無効訴訟が提起されました。
 その判決については、かなり報道されたのでご存じかと思いますが、昨年12月28日の大阪高裁の違憲判決を皮切りに、東京高裁のひとつと最後本年4月27日の札幌高裁を除いた7つの裁判所で、違憲もしくは違憲状態判決が下されました。なお、「違憲状態」とは、投票価値の不平等が合理性を欠く状態に達しているものの、それを国会が是正するには時間的に余裕がなかったとして違憲と断言しない状態です。したがって、一票の格差がもはや許される状況ではないという点では、違憲判決も違憲状態判決も変わりありません。
 名古屋高裁でも本年3月18日、格差が2倍に達した場合には、「一方の投票権の価値が他方の投票権の価値の2倍になるわけであり、これは言い換えれば、1票の投票権を持つ者と2票の投票権を持つ者とが生じるのと同じことになるわけであって、実質的に1人1票制にも明確に反する」として、明確な違憲判決が下されました。

4 一人別枠方式
 合憲・違憲の判断が分かれたのは、一人別枠方式の評価が分かれたためです。
 一人別枠方式とは、小選挙区の全300議席を単純に人口比例で配分せずに、あらかじめ各都道府県に1議席を割り振った上で、残253議席を人口比例で配分する方式です。過疎地域への配慮、多極分散型国土の形成等の政策課題への配慮等の面から、人口の少ない県に対し定数配分上配慮するものです。この制度が合理的である、と考えれば、合憲の判断に流れます。
 しかし、平等選挙の原則を曲げてまで過疎地域の議員定数を配慮するはおかしい、本来国会議員は全国民の代表なのだから過疎問題も過疎地域選出の議員だけが取り組むべき問題ではないはずだ、また、一人別枠方式によれば過疎地域では全県定数が増えるわけではなく、最も人口の少ない鳥取県は定数増になっていないし、過疎問題の深刻な北海道に至っては定数減になっているから、目的との整合性が取れていない、などと考えれば、違憲の判断に流れます。
 弁護団は、一人別枠方式には合理性はないと訴えてきました。この一人別枠方式が2倍を超える格差をもたらした大きな原因のひとつであるため、7つの高裁で一人別枠方式が断罪されたことは大きな意味があると考えています。

5 舞台は最高裁へ
 9つの高裁判決は、すべて上告審に移りました。
 弁護団は、格差3倍基準を2倍以内へ、さらに限りなく1倍へ、と議論を展開しています。弁護団の考え方や各高裁判決の考え方は、「一人一票実現国民会議」のホームページをご覧ください。
 考えてみれば、2倍だ3倍だ、自分は1票持っているが2票分以上持っている人もいると言うと“他人事”ですが、自分は0.5票分も持っていないと言うと“自分事”になります。たとえ1.7倍(愛知県第1区)の格差でも、0.6票分の一人前に満たない価値しかなければ、やはりおかしい。これが住所地だからピンとこないかもしれませんが、人種や性別や収入によって区別されていたら(例えば女性は男性の0.9票分とカウントする)、だれも納得しないはずです。
 日本が代表民主制を採用している以上、民意の正確な反映は、国政運営の根幹に関わります。「一票の格差」についても、是非、注目してください。

 なお、名古屋訴訟の弁護団は、川口創弁護士、坪井陽典弁護士、東京の升永英俊弁護士と靫困任后
(陝「此‐ 周)

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